それでも 俺は、あかねのようなやつが許嫁だなんて、許せなかった。 生意気だし、ちっともかわいくねえ。 料理は殺人的だし、俺を平気で殴ったり蹴ったりしやがる。 他のやつには優しい所をみせるのに、俺にはちっともそんな事なんてしねえ。 自分の事ばっかり考えて、俺の言葉なんて耳にもしねえ。 あかねってそんなやつだ・・・そんなやつが許嫁なんて、俺は嫌だった。 でも、色々あって、俺はあかねのもう一つの面がわかるようになった。 あかねは決して俺を嫌っているわけじゃ無い事がわかった。 俺の為に命を張ったり、一生懸命努力してくれる時もあった。 そりゃ失敗する時も多かったけど、あかねはあかねなりに一生懸命にやっていた事がわかった。 だからかな・・・俺は許嫁がどうとかこうとか・・・それを越えてあかねを守りたくなったんだ。 俺だって、あかねに対してどうしても張り合っちまっている一面がある。 ・・・誰だって、悪い所があって、いい所があるんだよな。 俺は、やっとそれがわかったんだ。 だけど、それを互いにわかっていても、どうしても素直になれねえ。 どうしても、逆らっちまうんだよな、本心と。 だから、喧嘩もしちまうし、互いに溝を作っちまう。 でもそれは、何度も起きた危機の度に埋まっていった。 俺達は困難を乗り越える度に、互いを信じる事を知ったんだ。 でも、やっぱりあかねはいつものあかねだ。 俺に冷たくするし、いつまで経っても料理は上手くならねえ。 けど、それでも俺はそんなあかねが好きなんだ。 終わり。